
先日、東光寺(静岡市清水区横砂)の寺子屋体験に参加してくれたお子さんのお母さんから、おもしろい報告を受けました。
「家に帰ってくるなり突然、『食後に食器を洗うから、たくあん買ってきて!』って言うんですよ」
こんなこと急に子どもが言い出したら、パニックですよね。スポンジじゃなくて、たくあん。
何を言っているのか分からずびっくりしていると、お子さんがお寺で教わったことを得意げに色々と教えてくれたそうです。
言われるがままに家族全員でやってみたら、
「命をいただくことについて、とっても勉強になりました!」
と笑顔で教えてくれました。
これは、2026年(令和8年)8月20日に東光寺で開催した「寺子屋体験」での出来事です。
2026年(令和8年)8月20日、東光寺(静岡市清水区横砂)にて小中学生を対象とした「寺子屋体験」を開催いたしました。
その活動報告を順番に紹介させていただいております。
※これまでの記事
活動報告1 開会式 【なぜお寺で過ごすのか】
活動報告2 坐禅 【心のお掃除の基礎】
活動報告3 読経 【恥ずかしがる大人を置き去りにして、子供たちは仏様に近づいていく】
活動報告4 布薩(ふさつ) 【「えっ、そんなに頭を下げるの!?」驚きの声から始まった心のお掃除】
はこちらからご覧いただけます。
サバ?センパツ?食事と関係する大事なこと
お寺での生活は、そのすべてが修行です。
なかでも禅宗では「食事」をものすごく大切にします。
人間が生きていくうえで絶対に必要で、そして他の命をいただく時間だからです。
昼食の時間になり、私は子供たちに食事の合言葉である
「静かに・無駄なく・全て食べる」ことと、
「生飯(さば)」という作法について話しをしました。
私
「食事の前に、ご飯を7粒くらい取って別のお皿に置いてください。自分が食べる前に別の誰かのために取り分けることで、『もっと食べたい!』って欲張る気持ちを我慢することができるようになります。そのご飯は食事が終わったら、外の鳥や魚たちにあげています。」
参加者
「えっ、ご飯を置く!?」「もったいない気もするけど・・・」
初めての作法に戸惑いながらも、子供たちはスッと受け入れて、自分のご飯をちょこんと取り分けていました。


そして、食事が終わる頃に行うのが
「洗鉢(せんぱつ)」です。
これこそが、お母さんを驚かせた「たくあんで食器を洗う」作法の正体です。
お湯とたくあんを使って、器にこびりついたご飯やみそ汁の具を全部きれいに洗って、なんとそのお湯すらも残さず飲み干します。
命を何一つ無駄にしないための、大切な習慣です。




食事中、子供たちは慣れない正座で足が痺れてビリビリ。
さらにお寺では、音を立てずに食器を扱うことにも気をつかいます。
静まり返った空間のなかで、プルプル震えながらも一所懸命に最後の洗鉢までやり遂げてくれました。
さらに、家に帰ってまで「たくあん買って」とお願いして、新しい習慣を素直に実践する姿は、本当に尊いものだと感じます。
こういった報告や、子供達が一生懸命に洗鉢をする姿を見ていると、大人の私が同じ体験をしたら、ここまで一生懸命に取り組めるか考えてしまいます。
もしも、知らない場所で「たくあんでお皿を洗って飲んでください」と言われたら、「いやいや、洗剤のほうが綺麗になるでしょ」とか「そんなの今の時代に合わないよ」なんて、自分が身につけてきた「これまでの常識」を振りかざして、素直に学ぼうとしないんじゃないか。
大人になればなるほど、新しいものを受け入れることを拒んでしまいそうになります。
しかし、子供たちは、足が痛くても、初めての厳しいルールでも、「なぜそうするのか」を感じ取り、スポンジのように吸収して実践します。さらには、それを家族にまで伝えて巻き込んでしまう力を持っています。
それに引き換え、私は自分の小さな常識の枠にとらわれて、一番大切な「素直さ」を忘れてしまっていたと痛感させられます。
食事は大切な修行の場
寺子屋体験での食事は、ただお腹を満たすランチタイムではありません。
命の尊さを知り、新しいことを素直に受け入れる心を育む、大切な修行の場です。
足の痛みに耐え、音を立てないように気遣い、最後の一滴まで命をいただいた子供たち、本当によく頑張りました。
保護者の皆様、もし家でお子さんがお寺での出来事を話し、実践しようとしていたら、それは修行をしっかりと自分のものにした証拠です。
どうかその素直で立派な姿勢を、温かく見守ってください。
私も子供たちの真っ直ぐな姿を見習って、「自分の常識」という見栄を捨てて、柔軟な心で学び続けていきたいと思います。

おかわりもたくさんしてくれました!
次回は「極楽作り」!極楽って作れるのでしょうか?
お楽しみに!!



“「食器を洗うから、たくあん買ってきて!」の意味(2026寺子屋体験レポート その5:食事)” に対して1件のコメントがあります。