お葬式の中心は
授戒会(じゅかいえ)
お葬式というと、“お別れの儀式”と思われる方が多いかと思います。ですが、それだけではありません。
お葬式 = 授戒(じゅかい)+ お別れの儀式、というように表すことができます。
「戒」とは人々が穏やかに生きていくための約束事であり、その約束事を守ることを誓う儀式のことを【授戒会】といい、とても大切にしています。
お葬式とその前後の流れ
東光寺でのお葬式の基本的な流れをご紹介します。
枕経~お通夜
一
枕経
-まくらぎょう-
もともとは、これから亡くなっていく方が僧侶と一緒にお経をお唱えすることで”死”の恐怖と向きあっていくためのものでした。
現在では、亡くなられた際になるべく早く枕元でお経をお唱えさせていただきます。
※お亡くなりになったら、まずは菩提寺(ご縁のあるお寺)にご連絡ください。和尚が枕経に伺わせていただきます。その後、日程等の打ち合わせをさせていただきます。
二
お通夜 -おつや-
お釈迦様が亡くなられたとき、泣いて悲しむあまり何もできないでいる弟子達に対して阿那律(あなりつ)という弟子が、明け方までお釈迦様の説き続けた教えを話されたことに由来しています。
お葬式の前夜に弟子たちが最後の一晩を通して、お釈迦様の教えを伝えあいながら過ごしたことから通夜と言われています。
お通夜では遺教経(ゆいきょうぎょう)、般若心経(はんにゃしんぎょう)などのお経をあげさせていただきます。お経の間にご焼香をし、ご焼香後も静かに手を合わせご供養ください。
※遺教経とは、お釈迦様が亡くなられる際に説いた最後の教えが書かれているお経です。
最後の夜ですので、なるべくろうそくとお線香が絶えないように勤めていただければと思います。また、故人を偲び、思い出を語り合うこともとても大切なお勤めです。
ちょっと豆知識
~焼香について~
焼香とは、一度薫(くん)じた後、合掌礼拝することです。
「香りをお供えする」そして「よい香りでお参りをする自分自身を浄める」という意味があります。
焼香をして、浄められた心身で供養に勤めます。
荘厳(しょうごん)について
お葬式の際、祭壇等に飾らせていただきます。
お塔婆(とうば)
お塔婆とは
お釈迦さまの舎利(遺骨)を納めた仏塔(ぶっとう)に由来するものです。
塔婆に故人の戒名を書くことで、故人が仏となり成仏することを願います。
お葬儀では2種類のお塔婆をご用意します。
お位牌(いはい)
お位牌とは
故人の戒名や名前を記した木製の仏具。
亡くなった方を供養すると同時に、戒名に込められた故人の生き方を受け継ぐことができます。
お葬儀では白木の位牌を2種類ご用意します。
塔婆その1 六尺塔婆
“新帰元”と書かれた一番長いお塔婆。
ご遺体と一緒に移動します。お骨になった後はお骨のある場所にお祀りします。
塔婆その2 七枚塔婆
初七日~四十九日まで、1週間ごとのご供養のお塔婆。2枚目以降はお寺でお預かりし、1週間ごとにお参りいただきます。
位牌その1 野位牌
“新帰元 戒名 荼毘”と書かれています。六尺塔婆と同様、ご遺体と一緒に移動します。
位牌その2 白木の位牌
塗りのお位牌の代わりのもの。戒名のみが書かれています。
一膳飯(いちぜんめし)
亡くなった直後にお供えします。お釈迦様が亡くなられる前に口にできなかったものを死後にお供えしたことに由来しています。(他、諸説あり。)
三
合掌・礼拝・読経(白隠禅師坐禅和讃)
誰でも生まれながらにして仏様の心をもっていることを改め て思い起こし、心を穏やかに手を合わせます。
四
剃髪の儀
-ていはつのぎ-
亡くなられた方はお釈迦様のお弟子様として旅立ちます。剃髪の儀はその第一歩です。全ての髪を剃る地方や一部分だけを剃る地方など地域によって様々ですが、東光寺では剃刀を用意するまででとどめています。
このとき、剃髪偈(ていはつげ)というお経をお唱えします。
五
授戒 -じゅかい-
お葬式の中心の授戒会(じゅかいえ)です。
貪り(むさぼり)、瞋り(いかり)、愚かさ(おろかさ)に乱されやすい心を調える懺悔文(さんげもん)を唱え、心を浄めます。続いて、三宝(仏・法・僧)を大切にする三帰戒(さんきかい)を唱え、戒を授かります。この儀式により、仏弟子となり、戒名が授与されます。
六
大悲呪 -だいひしゅう-
鎖龕回向・起龕回向
-さがんえこう・きがんえこう-
龕(がん)は棺を意味します。
棺にふたをするー鎖龕ーお経と、棺を運び出す-起龕ーお経をお唱えします。そのあと、それぞれ鎖龕回向(さがんえこう)、起龕回向(きがんえこう)という祈りをささげます。
八
引導法語
-いんどうほうご-
故人の徳を讃える心や、死を悼む心を漢詩に託し、仏の世界に導きます。この漢詩には故人の生まれ、働きなどが含まれていますので、生前の故人がより偲ばれることと思います。
引導法語をお唱えする前には、円を空中に描き、また、引導法語の最後には「喝」と叫びます。言葉では表現することのできない禅宗の大切な教えを、この「喝」の一声に込めます。
九
山頭念誦
-さんとうねんじゅ-
山頭とは火葬場のこと。阿弥陀如来(あみだにょらい)の名をお唱えし、阿弥陀様の力で亡くなった方の心を清め、悟りの世界に向かうことを助けます。また、亡くなった方を精一杯に供養したいと願う気持ちが込められています。
十
鼓鈸
-くはつ-
お釈迦様が亡くなったときに、村人が総出で持ち寄った楽器を鳴らして別れを惜しんだことに由来し、鼓鈸(くはつ)という楽器を鳴らし永遠の命を表す阿弥陀様の極楽浄土に入れますようにとお祈りをしています。
火葬~納骨
一
火葬・舎利礼文
-かそう・しゃりらいもん-
火葬の際、舎利礼文(お釈迦様の遺骨と墓所を礼拝する)というお経をお唱えします。
遺骨を一心に礼拝することはお釈迦様が残された教えを受け取ること、それと同じように亡くなった方の心とともに生きようという想いが込められています。
二
収骨・お骨上げ
-しゅうこつ・おこつあげ-
火葬が終わり、お骨を拾うことを収骨(しゅうこつ)やお骨上げ(こつあげ)といいます。
収骨のときには二人一組で行う習慣があります。これは亡くなった方に無事に三途の川を渡って欲しいという願いを込めて「橋渡し」する、という意味があるといわれています。
三
初七日忌
-しょなのかき-
少しでも多くの方が参列できるように、ということからお葬式の際に続けて行われることが多いですが、実際は亡くなられてから1週間後に行う法要です。
ですので、東光寺では「一度、山門の外に出ていただき、気持ちを新たに初七日の法要に御参加ください。」とお伝えしています。
初七日はお葬式の終わりではなく、法事の始まりといえます。
四
四十九日忌
-しじゅうくにちき-
四十九日の法要を忌明け(きあけ)と言い、四十九のお餅を特別にお供えします。
亡くなられてから7週間後、7日×7週間=49日、の法要です。この日まで、1週間ごとにお参りをします。
五
納骨
-のうこつ-
先祖代々のお墓、新たに建立したお墓、永代供養墓、など納める場所も多様になってきています。
また、納骨の日取りについても特に決まりはありません。ご家族でお話合いの上お決めください。ご相談もお受けいたします。